地元のツタヤが潰れる。
そして、すでに、駅前の本屋も潰れた。
もう、地元で本が買えない。
本をたくさん売っているツタヤでもあったので、なんだか本や映画を、好きな時に買いにいけなくなった。
ツタヤが、閉店をするというので、レンタルのDVDなどが、旧作だけ、買えるというのだ。
しかも、1本500円、10本以上買うと、1本300円だという。
300円・・・。
しばらく途方に暮れたのだ。
ネットフリックスは、いったいどこまで、昔の映画を見れるようにしてくれるだろうか。
配信になるのは構わない。
けど、観れなくなる映画がたくさん増えるのはいやだ。
とにかく、買うなら、今だ。
そう思った私は、片っ端から棚を見たのだ。
ワゴンセールのDVDなんて、たいしたものもないし
そう考えると、ヨーロッパやアジアなんかの、五千円くらいするような映画のDVDは、ここにきて300円なんて、まるで夢のような話だった。
そもそも、DVDはまだ観れるのか。
ブルーレイはどうか。
たくさん、レーザーディスクを買ったが、観れなくなった者の、二の舞になるのではないか。
そう思うのだが、どうにも、カゴに入れる手が止まらない。
今、ここで買わないと、青春時代に手を叩いて観た、あの映画もこの映画も、観れなくなる気がしたのだ。
今まさに、船が出ようとしているのではあるまいか。
と思うと、買わずにはいられない。
とにかく、あれもこれもカゴに入れていくと、とんでもない数になっていく。
軽く20本、30本を超えたあたりか。
不思議と罪悪感がうまれてきた。
このまま、自分ばかりが、この名作映画たちを買い占めていいものだろうか。
俺が買うことで、この映画たちと、別の人たちが、出会えなくなるのではあるまいか。
余計な心配までが、私の心をかすめていく。
が、もう遅い、カゴに戻すことはできない。
決して、千円で買えるものに、手を伸ばしてはいない。はず。
ふるいにかけられていく者の、今、まさに「助けて」と手を伸ばしている映画たちの、その手をつかんでいるだけなのだ。
と自分に言い聞かせ、更にカゴに入れていく。
自分が年を取るのと一緒に、映画も増えていく。当たり前のことだった。
映画は残るものだと思っていた。いや、残るはずなのだが。そう思って作っているが。
でも、すっかり忘れられてしまう映画もあるかもしれない。
あんなに観て感動した、あの映画のタイトルさえ、もうとうに思い出せない、ということがあるかもしれない。
映画は、また新しく次々に作られていくし、全部観ることはできないはずだ。
と考えながら、いつしかカゴには、40本を超える映画たちが並んでいる。
これを、レジに持っていく。
潰れる店なのに「見習い」の札をつけた若い店員が、
「・・・」
の顔をしていた。
もう、犯罪なんじゃないかと俺は思った。
「購入ですよね?」
「はい」
「盤面を確認します」
と、
おそらく購入のDVDは、そうしなくてはいけないらしい。
振り返る。
レジに長蛇の列ができている。
俺は、途中で、「もういいです」と研磨を諦め、そのまま、紙袋3個分の子供たちを連れて帰った。
映画というのは、私の時代では、それはお金をはらい、大きなスクリーンで観るそれで
ちょっと時間が経ったら、レンタルビデオでも観れる、それで
きっと、それは、もう遠い昔の話で。
潰れるツタヤで途方に暮れ、そんなことを考えた。
posted by okita at 00:42|
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