2013年05月14日

鬼の器

疑似恋愛シュミレーションゲーム 
「鬼の器」


 己の肉体の変化を感じ、嶋田次郎は、鏡の前で、愕然となっているのだった。次郎は、ここ最近、豆腐と玄米しか口にしておらず、デトックスという名の魔物に取り憑かれ、健康になるのはいいが、顔つきは鋭さを増し、美しい彫刻のように、精悍な雰囲気を漂わせはじめていた。そして、次郎もその事については、自己嫌悪に陥ることはなく、むしろ自慢気な顔さえ浮かべていたのだが、ある日、かねてから密かに好意をよせる、同僚の矢島恵子に、「最近、嶋田さんの顔つきが怖い」と、半ば冗談ではあったが、そう、からかわれてからというもの、次郎の中で、ある変化が起きている。次郎における「健康」とは果たしてなんだったのか。鏡の前で次郎は、しばし自分の顔をじっくりと眺め、頬を撫で、そしてゆっくりと瞳を閉じた。それから、まるで火山の噴火のごとく、次郎を襲った急激な苛立ち。瞳を開くと、そこに映ったのは、まるで一匹の鬼のような形相。いったい、俺はどうしたというのだろう!! 俺は、わかってしまった。次郎は、すぐさま台所へ駆け寄ると、およそ十キロも買い込んだ玄米の袋の中に、自らの拳を思いきり突き刺した。そして、玄米を掴めるだけ掴むと、おもむろに、リビングの壁に投げつけたのだ。突然の豪雨が、ビニール傘を叩くような音と共に、床に散らばる一面の玄米曼荼羅。次郎は、乱れた呼吸を整え、考えた。果たして、自ら健康の鬼と化したこの二ヶ月はなんだったのか。デトックスなどはない。そうだ。俺は・・・もしかして、モテたいのか?・・あの矢島恵子にモテたいがために始めたことだったのか?・・ようやく次郎は、気がついた。38歳にして、気がついた。ああ、俺は、モテたい。モテたくて仕方がない。その夜、次郎は、布団の中、悔しくて、むせび泣いた。泣いて泣いて、そして、また朝が来たのである。次郎はそれを、「新しい朝」と呼んだ。

さて、出勤だ。今日こそ、矢島恵子にコクるぞ・・・2へ
コクるのは、まだ早い、せめて矢島恵子をデートに誘おう・・・3へ
posted by okita at 03:19| Comment(5) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
「3」…かな

ブログ、新しくなりましたね。
Posted by at 2013年05月24日 16:33
私なら多分3にします

これ、続きもあるんですか?
Posted by ペンギンチョコ at 2013年06月08日 16:00
じゃあ、2で。

Posted by at 2013年06月30日 18:39
Posted by 宮崎敏行 at 2013年07月17日 17:30
沖田監督お久し振りです!アジカンのPVでお世話になりました!!!宮崎敏行です! 只今新宿の花園神社にて野外劇に出演中でございます☆22日まで毎日夜19:00までやっております。良かったら招待させて頂きますので宜しくお願い致します!!!hazimemasite.toshiyuki@ezweb.ne.jpまで良かったら連絡下さいませ。

宮崎敏行
Posted by 宮崎敏行 at 2013年07月17日 17:36
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